狭い場所における単管足場の安全な利用と強度確保

こんにちは！アシバッチ事務局です。狭い場所でも安全な足場工事は可能？本記事では、単管足場の活用術と法規制を解説します。是非ご覧ください！

はじめに

都市部の住宅密集地や狭小地での建設・リフォーム工事において、単管足場の活用は欠かせません。限られたスペースで安全かつ効率的に作業を行うためには、単管足場の特性を理解し、適切に設置・利用することが重要です。本記事では、狭い場所における単管足場の利用方法と強度確保について、足場職人の皆様に役立つ情報を提供します。

単管足場の特性と狭い場所での優位性

単管足場は、直径48.6mm、肉厚2.5mm（または1.8mm）の鋼管をクランプで連結する仮設構造物です。その最大の特徴は組立ての柔軟性にあります。現場の状況に合わせてパイプを連結し、必要に応じて切断や継ぎ足しを行うことができるため、狭い場所での作業に特に適しています。

隣家との隙間が30cm程度しかない狭小地でも、単管足場であれば設置が可能なケースが多くあります。一般的な足場に必要な幅は約70cmとされていますが、単管足場では50cm程度のスペースでも組立てが可能です。枠組足場などの他の足場材と比較して、その柔軟性とコンパクトさが大きな優位点となります。

狭い場所での安全な単管足場の設置方法

スペースに応じた踏板の選定

狭いスペースでは、踏板の幅も重要な要素です。通常の足場板は約40cmの幅がありますが、狭いスペースでは25cmや15cmといった幅の狭い踏板を使用することで対応できます。ただし、幅が狭くなることで作業スペースが限られ、足元が不安定になる可能性があるため、より一層の安全対策が必要です。

支柱の適切な配置

支柱の設置スペースも考慮する必要があります。従来の足場では支柱のために左右それぞれ約10cmのスペースが必要ですが、単管足場ではよりコンパクトな支柱配置が可能です。労働安全衛生規則では、建地の間隔はけた行方向（足場の長手方向）に1.85メートル以下、はり間方向（足場の幅方向）に1.5メートル以下と定められていますが、狭いスペースでは特に慎重な設計が求められます。

壁つなぎの確実な設置

狭い場所での足場は、特に安定性が重要です。建物の壁面と足場を壁つなぎで確実に固定し、足場の倒壊を防止しましょう。壁つなぎの設置間隔や方法については、労働安全衛生規則に基づいて適切に実施することが必要です。

単管足場の強度確保と法規制の遵守

許容荷重の厳守

単管足場の許容荷重は、労働安全衛生規則によって1スパンあたり400kg以下と定められています。同一スパンに同時に積載できる層数は2層以下であり、連続するスパンに積載しないことも原則とされています。特に狭い場所では、資材の置き場所が限られがちですが、過積載は足場の崩壊リスクを高めるため、厳に慎むべきです。

適切な部材の選定

足場の強度を確保するためには、適切な部材を選定することが重要です。特に、ピンのない単管パイプやネジ式のボンジョイントは、足場としての使用が労働安全衛生法で禁止されています。これらの部材は強度や安全性が低く、事故の原因となる可能性が高いため、使用は厳に慎むべきです。また、クランプの締め付けトルク管理も重要です。STKクランプの許容荷重は一般的に430kgfとされており、適切な締め付けを行うことで強度を確保します。

墜落防止対策の徹底

労働安全衛生規則では、高さが2メートル以上の作業場所には、幅40cm以上の作業床を設け、墜落防止のために手すりや中さん（中間手すり）、幅木などを設置することが義務付けられています。また、作業床の床材間の隙間は3cm以下、床材と建地との隙間は12cm未満とすることが求められています。狭い場所であっても、これらの安全対策は確実に実施しましょう。

実践事例：狭小地での単管足場の活用

神奈川県相模原市で行われた戸建て新築工事の事例では、非常に狭い現場において、経験豊富な職人が連携し、隣家を傷つけないよう細心の注意を払いながら単管足場を半日ほどで組み立てています。このように、狭い場所での単管足場の設置には、熟練した技術と丁寧な作業が不可欠です。

施工前には必ず詳細な計画を立て、作業スペース、必要な強度、安全対策などを十分に検討しましょう。また、隣接する建物や住民に迷惑をかけないように、騒音対策や飛散防止対策も徹底することが重要です。

まとめ

狭い場所での単管足場の利用においては、その柔軟性と適応性を活かしつつ、安全性と強度を確保することが極めて重要です。労働安全衛生法をはじめとする関連法規を遵守し、適切な部材選定、許容荷重の厳守、墜落防止対策の徹底などを心がけましょう。また、狭い場所での作業は特有の技術を要するため、経験豊富な作業員の配置や事前の綿密な計画が成功の鍵となります。

足場の安全性は、現場で働くすべての人の命を守るものであり、妥協は許されません。狭い場所であっても、安全第一の姿勢を貫き、質の高い施工を実現しましょう。