「建築や建設の現場を見るのが大好きです。今でも、気になる現場があれば足を運んでいます」ユニパー株式会社 代表取締役 村野光英さんは、笑みをたたえながらそう語る。その表情は、嬉しそうに現場を見聞する様子が目に浮かぶようだった。

「揚げることに挑戦する」

昭和39年の創設以来より、ユニパー株式会社は建築・建設現場の「荷揚げ」作業の効率化を目指した製品を作り続けてきた。創業当初の主力製品は、瓦を屋根まで運ぶ設備。「瓦職人が瓦を担ぎながら梯子を登っていく姿を見て、もっと楽に瓦を揚げられないものか、と先代が考えだしたことから始まりでした」重たい資材を抱え、不安定な梯子を登る中で事故が絶えなかった。そんな現場の安全を守りたいという思いから、『揚げることへの挑戦』が始まった

「荷揚げ」する対象資材も、建築現場の様相も時代と共に変わってきた。それでも、ユニパーは絶えずその変化を取り入れ、現場の「困りごと」を常に解決してきた。

現場の声こそ開発の礎(いしずえ)

「開発のきっかけとなるアイデアは、すべて現場で生まれます」
「だから、現場が大好き」ともいう村野社長。

現場に出向き、常に現状を自らの目で確認し、職人さんの声を聞く。
先代が開発した屋根瓦の荷揚げ設備も現場から生まれたように、その「想い」はそのまま今も引き継がれている。
「揚げることに挑戦する」という理念は、建築・建設現場が安全・安心、かつ効率的な作業環境を実現する取り組みでもある

業界でも最高のパワーと多機能を誇るウィンチ「疾風」もそのような「想い」から生まれた。
「『疾風』を開発するきっかけになったのは、私が大阪支店長時代に、現場でこれまでとは違うウインチの使い方を見たことでした」

当時、足場など資材を揚げるウィンチは本来、上部にホイスト(吊り下げウィンチ)を設置し、資材や荷物を吊り上げるのが一般的な使い方だった。しかし、村野社長が目撃した現場では、ウィンチ自体を足場下部に置き、上側に滑車だけを設置して荷揚げをしていたのだ。足場下部に据え置くことで、効率よく安定した荷揚げができることに気がついた職人さんの発想だった。

「こんな使い方があるんだ! と驚きでした」

大阪時代に見たこの使い方をベースに「疾風」の開発が着手された。しかし、実際に製品化する際には予想以上の障壁が待ち受けていた。

現場のためにーー「想い」が生み出した技術革新

Silhouette of worker. Construction Building casting concrete work on scaffolding.

「疾風」を納得いく製品として世に送り出すため、村野社長は自ら現場に出向き、職人さんの声を聞いて回った。その情報は漏らすことなく社内の開発チームへ共有され、改善を重ね続けた。良かれと思って取り付けた機構が、「こんなのいらない」と現場で一蹴されることも少なくなかった。

「そんな中で最も苦労したのが、巻き上げ過ぎの防止と巻き上げ過ぎた後の運転の自動復帰でした。この改善に1年半近くかかりました」
資材落下など安全面に大きな影響を与える動作であり、特に難しかったのが、巻き過ぎで安全停止した後の自動復帰運転だった。

「最後まで苦労しました。それこそ開発チームは『もう無理だ』と一度諦めました。でもね、やはり現場のことを考えると『何とかならないか』という思いが強くて……」

現場では絶対に必要だ。だから諦めることはしたくない。とにかく開発チームにひたすら改善をお願いした。

その甲斐があって、安全停止した後に速やかに下り回転で運転が復帰する機構は特許を取得した。こうして諦めずにトライを重ねたことが、「疾風」を間違いなく唯一無二のウィンチとしてバージョンアップさせていく。

巻き上げ速度は、従来のウィンチと比べ圧倒的に速く、高さ50メートル級の高層建築現場にも対応できる耐久性が確保されている。また、大手ゼネコン各社の安全パトロールでも常に高評価を得るなど、その性能、安全面では群を抜くスペックを誇る。

「疾風」が引き起こす“現場改革”

「一度こんなクレームが来たことがあります」と村野社長。

それは、数年前、数棟のマンション建設工事の話
2棟目のマンションの建設現場で「疾風」が導入された。建設は1棟目から順番に着手されたにも関わらず、予定された工期よりも2週間も繰り上がり、早く着手した1棟目よりも早く完工した。

「この出来事で、『1棟目の現場監督さんが口を利いてくれなくなった』と、2棟目の現場監督さんから思わぬクレームが来ました」

笑い話のようであるが、「疾風」がそれだけ建設現場に大きな影響を及ぼしていることが伺える。他にも「疾風」を導入したことで効率化が進み、工期が早まったという声は絶えない。北海道のある建設会社の社長からは、「工期短縮とコストの早期回収が実現する」とお礼の電話もあったほどだった。

そのような「疾風」の力を発揮する現場が、全国に広がり続けている。

建築・建設現場だけでなく、お城やお寺などの歴史的建築物の修繕や遺跡、高速道路脇の法面補修工事など、その導入現場は多様化している。

「疾風」とともに挑戦は続く

「疾風」が発売されたのは2017年。
今年で8年目を迎える中で、「疾風」は全国で延べ1,700台販売してきた。単純計算すると、約2日に1台のペースで購入されている。

1台あたりの価格は100万円を超え、他社より高額なイメージがある。しかし、その性能面が、安全を担保しつつ、作業効率化と工期短縮という業界が抱える課題への寄与は大きい。他社ウインチとの価格差をすぐに回収するどころか、それを上回る効果が期待できる。

現在の「疾風」は、2024年にリニューアルし2代目となっている。
より頑丈なモーターを搭載し、過酷な使用条件に対応しているという。

これもまた現場の声から生まれたものだ。

そして、2代目「疾風」は現在フル生産対応となっている。
各地の現場を見聞きし、その中で生まれた「疾風」。

「建設足場業界では省人化・効率化をしっかりと支えて業界のサポート役として貢献していきたい。やれること、やらなくてはならないことはまだまだあります」

村野社長の言葉が力強く響く。

「揚げることへの挑戦」

建設業界でも非常にニッチな分野でありながら、その挑戦を60年続けきてきた。その継続こそ、屋根瓦の荷揚げ設備以来、どの時代でも常に現場の「困りごと」を解決し、築いてきた信頼の証だ。

「嬉しいことに、60歳を越えた職人さんたちのほとんどが、現場で荷揚げ機を使うことを『ユニパーを使う』っておっしゃってくれます」

「ユニパー」という社名が「荷揚げすること」の代名詞となっている。あらゆる現場で全世代の職人さんに「疾風」がその代名詞として響き渡るよう、「揚げることの挑戦」とともに「現場の進化を支えていく挑戦」も続けている。

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